日本アニメDVDが高い理由

日本で映画DVDを購入しようとすると、せいぜい2000円前後の価格ですがアニメDVDを購入しようとすると、「えっ!?2話で6000円!?」ってな事を思う人は少なくないと思います。

アニメDVDって他と比べても確かに高い。これ如何に?って事でせっかくコメントも頂きましたし、解説してみようと思います。ただし、私はアニメ業界の人間ではないので、自分で勉強した限りですから、多少の間違いは許してね!

宮崎駿監督というレジェンドな人物がいます。この人、実は死ぬほどに手塚治虫を恨んでます。「私は手塚治虫の漫画に憧れ、漫画家を志し、アニメ業界で仕事をするようになった人間だが、アニメーター手塚治虫を心底恨む。業界をこんな風にしやがって!」との事。

日本で最初にテレビアニメーション環境を整えたのは手塚治虫氏です。しかし、当時、アニメは視聴率なんて取れない、子供しか見ない、との事で非常に価値の低いモノとして見られていました。

アニメをテレビ局で放映する際に、通常はテレビ局がコンテンツ作品に対してお金を払って、放映します。そしてCMを流したい企業は広告料金をテレビ局に支払い、その広告料金の中からテレビ局はコンテンツを制作するお金と利益を生み出します。

CMを流したい企業(*・∇・)つ⑩ → ⑩ヽ( ̄ー ̄〃) テレビ局

テレビ局 (〃 ̄ー ̄)ノ⑤ これで作品作って♪ → ⑤ヽ(^∀^:) 制作会社

というのが通常なのですが、アニメに市民権が無かったために、手塚治虫氏は「アニメを作りました。放映するためにお金も払います。だから放映して下さい!」と、逆転の関係から日本アニメーション産業はスタートしてしまったのです。

手塚治虫氏の執念というか、土下座してでもアニメをテレビで放映したい!という強い重いから、こんな事になったアニメ業界。正確に言えば恐ろしく安い金額で放映権をテレビ局が買取り放映したのが事実ですが、関係の強弱から言って、基本的にはこのような構図によって日本アニメーションがスタートし、非常に低賃金での産業が成立してしまいました。

そして現代、この状況はあまり変わっておらず、アニメコンテンツに対してのテレビ局、広告企業共に評価はあまり変わっておりません(現実には少しづつ着実にアニメの評価は上がってきてるけどね)。アニメ制作会社はアニメを作るお金がない。この状況でひねり出した策は、作品の制作費はアニメDVDで資金回収するというビジネスモデルです。

本来であればCMを流す企業が良質なコンテンツを作るために制作費を渡すのですが、アニメの場合にはそれが無い(微々たる金額)。なので、DVDの金額に制作費がそのまま反映され、結果、1枚6000円などの高い金額になってしまっています。ある意味、アニメ作品はユーザーの支えによって成り立っていると言っていいでしょう。本来であれば、企業が出すべきお金をユーザーが大きく負担しているのですから。映画が1本2000円程度だとすると、6000円のアニメDVDは、4000円分、制作会社を支えている、寄付しているようなものです。この金額を見て、CMを出す企業ってすっごいお金を払っているんだなぁと見るか、アニメって本当にユーザーで支えてるんだなぁと見るか。それは人それぞれだと思います。

ただ1つ言えるのは、映画業界やテレビ業界と比較して、アニメクリエイターは非常にシビアかつ、分かり易い構図の中でビジネスをしており、ハリウッドのような厳しい競争の中で切磋琢磨をしている事を考えると、今後、アニメーションが日本の主流な作品表現媒体になる日はそう遠くないのかもしれません。

そして、今、若い人にとって映画に趣味のアンテナが立つセンスよりも、アニメの方が面白い!好き!というセンスの方が時代に合った良いセンスをしているんではないか?と個人的に思っている今日この頃です。